スカイ・ライダース

取るに足らないギークの取るに足らない自分語り 時代の流れに抗ったり抗わなかったり

minolta α303si

僕はお世辞にも性格がいいとは言えないし、根暗だし、気持ちの悪いおたくだが、なぜか友人にはとても恵まれている。先日、僕の友人の中でも一、二を争うほど愉快で奇ッ怪なある友人(ここではSとしておこう)の家へ招かれたのだが、その時、Sの部屋に見慣れないものがあることに気付いた。察しのいい方はお気付きになったかもしれないが、それが今回取り上げたミノルタのカメラである。それはそこそこ立派な銀塩カメラで、昭和の匂いがするほど古ぼけてはいなかった。フィルムは入っていなかったが、電池は残っており、動作はするようだ。Sはどう考えてもカメラに興味があるタチの人間だとは思えなかったので尋ねると、そのカメラを僕にくれると言う。「あぁ良いよ、どうせ拾ったやつだし、使い方わかんねーから」と彼は続けるが、果たして普通に暮らしていて一眼レフなど拾う機会などあるものだろうか?僕は疑問に思い詳しいことを訊いたのだが、Sは意味深な笑みを浮かべるばかりで取り合わなかったので、世の中には知らない方がいいこともあるだろう、と考え直し、僕もそれ以上追及するのをやめた。かくして僕は、このカメラを一銭も払うことなく手に入れたのである。

 

家に持ち帰って、本体に印字されてあるモデル名をgoogleで調べると、すぐにヒットした。1994年に発売されたミノルタの一眼レフの中位~下位を担うモデルで、関連する個人ブログもいくつか見つかった。特筆するほどの価値もないけど、まあフツーに使えますよ、といった様子。どうやら現在ではヤフオクやジャンクショップで叩き売りになっているらしく、相場は1000円にも届かないようだ。定価は約60000円なので、凄まじい値崩れである。もはやフィルムカメラ自体が趣味の世界なので仕方ないのだろうが。レンズはシグマに換装されていて、28-80mm、F3.5~5.6、マクロモード付きと、割とオールマイティに使えそうだった。

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見た目はこんな感じ。いかにもなカメラって感じがして、僕は結構気に入った。

さて、せっかくなので使ってみようと思い立ったものの、僕が物心付いた頃には既にフィルムカメラなんぞ過去の産物だったので、右も左も分からない。僕は安物だがミラーレス一眼を持っていて、わりかし写真は好きなのだが、その好きというのも、例えば、可愛さが決め手で買ったオリンパスペンで撮った写真を#ファインダー越しの私の世界 みたいなハッシュタグを付けてインスタに投稿して沢山いいね貰って喜んでたけど3ヶ月くらいで熱が冷めてカメラはどっかに仕舞い込んでホコリ被ってます、みたいなゆるふわ女子大生の「あたし写真好き〜!」と同じくらいのレベルの好き、なので、知識もたかが知れている。そんなわけで戦々恐々としながらテキトーに近所のカメラ屋さんに向かったのだが、このカメラ屋さんがなかなか良い店で、人の良さそうなオニーチャンが何も分からない僕に手取り足取り教えてくれて、おおまかな使い方は理解できた。そこでおすすめされたフィルムも言われるままに買った。フジフイルムのISO100の24枚撮の業務用のやつ。税込270円。やす。

 

カメラ屋を出て、とりあえずその辺にあったドトールに入って、コーヒーを啜りながら店員さんに聞いたことを反芻しつつスマホでいろいろ調べていたら、ネットで取り扱い説明書が落とせるっぽいことが発覚した。すぐさまダウンロード。便利な時代になったものである。読んでいくと、このカメラ、どうやらかなりフールプルーフにできているらしく、AF、AEは当然のごとく搭載、赤目補正、シーンモードなんかも使えて、Pモード(オートモード)に入れておけば、人がやるのは構えてボタンを押すだけで、あとは全部カメラがやってくれるらしい。最近のデジカメとほとんど変わらない。

一通り取り説に目を通したので、フィルムを入れて、じゃあ早速撮ってみますか、と店を出たら外は真っ暗だった。まだ5時だぞ。

それでも触ってみたくてウズウズしてたから、何も映らないのを承知で、近くにあったオブジェみたいなよくわからん物体にカメラを向けてファインダーを覗いた。光源は建物から漏れる明かりと、電灯のみ。そんでもって手持ち。無理かなぁ、と思いながらシャッター半押し。何も知らなかったらちょっとビビるくらいデカい音でジーッ、ジーッとレンズが動き、必死にフォーカスを合わせようとする。数秒ののち、ジーッが止まった。シャッターボタンを押し込む。露光はギリ足りてたっぽくて、カッシャーッ、とシャッターが切れた。これだけのことなのだが、いわゆるデジタルネイティブ世代であろう僕はなんかちょっと感動してしまった。シャッタースピード的にブレまくりだろうけれど。これが2018年12月27日くらいのこと。その後、なんだかんだ結構忙しかったので、その次にカメラを使う機会ができたのは大晦日に友人と忘年会をした時だった。せっかくなので(勝手に)ポートレートっぽいのを撮る。フラッシュを焚けば、ISO100のフィルムで屋内でもわりかしまともに撮れるっぽいことが判明。メシ食った後、夜の公園に繰り出して花火をすることになったので、そこでもフラッシュ焚いて数枚撮った。この時点での撮影枚数は16枚くらいだったのだが、家に帰ってカメラを見ると、何故かパトローネマークが0を指している。どうやら何かのはずみで巻き取りボタンが押されてしまったらしい。

後日フィルムをビックカメラに持って行って診てもらうと、一部光線引きがあるものの、大体は問題なく残っているとのことなので、現像してもらうことにした。データ入りCD-R込みで1100円。まあこんなもんだろうな、と思いつつも、もう一人の自分はフィルム代と現像代を足したのを撮影枚数で割って、一枚辺りの値段を出そうとしていたが、趣味に掛けた金額を考えても誰も幸福にならないと思って算出する寸前で踏みとどまらせた。

家に帰って、ノーパソを開き、2007年で更新が終了しているソフトでCD-Rを読み取ってみると、綺麗に撮れている写真は少なかったものの、想像より数段解像度が高くて驚いた。それに、フィルムカメラ特有のエモさみたいなのもある。御託はいいから早く写真を載せろよという声が聞こえてきそうだが、まともに撮れている写真の被写体が全て友人だったので残念ながらここには掲載できない。カスみたいな文章をここまで読み進めてくださった方に対してなんつー仕打ちとは自分でも思う。すいません。今撮影中のフィルムを現像したら載せる(多分)んで許してください。

今のところ、このminolta α303siは大して機材に拘りのない僕にはなかなかに満足な一機である。重さも本体のみで400g程度と、そこまで負担にならない程度に抑えられているし、解像度も申し分ない。なんだかミラーレスを使わなくなってしまいそうな気がする。個人的には、フィルムカメラと聞くと敷居の高そうなイメージがあったので、興味を持ちつつも手を出せなかったのだが、いざ踏み込んでみると思いのほかイージーにそれらしい写真が撮れたので、きっかけを与えてくれた友人Sには感謝してもしきれない。カメラの出処には未だ疑問が残るが。90年代くらいのモデルならばカメラ自体がかなり初心者ユーザーにも優しい上、レンズ込みでもちょっと贅沢なランチくらいの値段で手に入るし、まともなカメラ屋に行けば大体のことは教えてもらえるので、興味がある方はチャレンジしてみてはいかがだろうか。今日一日で頑張って2本記事終わらせたので誰か褒めてください。おわり。