スカイ・ライダーズ

自転車に乗ります

MAVIC Ksyrium SSC SLを買いました。

ほんとはワイドリムの中華カーボンクリンチャーなんかを買おうかな〜と思ってたんですが、気が付いたら13年前のキシリウムが生えていたというのが今回の話です。生えてしまったものは仕方ないので美味しく頂こうと思います。

ところで僕は余談というものが非常に大好きでして、記事を書いていても気が付けば余談が半分くらいとか余談の方が多いとかってことがままあるのですが、今回も例によってそんな感じになりそうなんで、興味のない方は適宜読み飛ばして下されば幸いです。

今日まで息づくキシリウ厶シリーズの歴史を辿ると、初代のキシリウムは'99年に登場しています。それまでも'94年初出のコスミックや'96年初出のヘリウ厶などの完組ホイールは存在したのですが、リムに直接ニップルをドリリングするForeテクノロジーやジクラル(アルミ)スポーク、DSをラジアル組NDSをクロス組としたイソパルススポーキングなど、完組ホイールでしか実現し得ない要素を盛り込んだ革命児的ホイールとして初代キシリウムはリリースされました。'02年モデルのキシリウムSLからは今でもお馴染みであるリム切削技術のISMが導入され、更に軽量化されると同時にほぼ現在の形となっています。現在こそカンパニョーロ(フルクラム)にも採用されているリム切削やアルミの極太スポークですが、それらの技術を最初にカンパが使用したホイールは、僕の知識が確かならばキシリウムSLから遅れること3年、'05年モデルのユーラス、レーシング1です。つまりこれらを最初にやり出したのはマビックで、カンパは後出しジャンケンなんですね。だからなんだという話なんですけど。

そのキシリウムSLの'04〜'05モデルが今回生えてきたホイールです。この世代は無印キシリウムキシリウムエリート、キシリウムSLの順にグレードが上がるので、当然ハイエンドモデルです。Foreテクノロジー、ジクラルスポーク、イソパルス、ISMが全部盛りです。今のキシリウムのハイエンドと比較して足りないのはオフセットリアリムとエグザリットくらいなもんですね。初代キシリウムが出た'00年前後はカーボンホイールはまだまだ未発達の領域で、かのランス・アームストロングを筆頭にキシリウムを愛用するプロ選手も多かったんですが、カーボンホイールの急速な発達と共に徐々にキシリウムはプロユースの最前線から退いてゆきました。とは言っても今回買ったキシリウムSLはギリギリUCIワールドチームクラスのトッププロにも使われていたことが散見できます。

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'05年にサエコキャノンデールがランプレに吸収され、ランプレ・カフィータとなっていた時代のチームバイクにキシリウムSLが使用されています。SIX13かっけー。もっとも翌年'06年からはチーム名がランプレ・フォンディタルに変更されるのと同時にバイクもウィリエールに変更、ホイールサプライヤーもフルクラムとなってしまいました。

ホイールの話に戻ります。先の画像を見ての通り、前作までの黒基調から一転、これでもかってくらいにシルバーシルバーしたデザインです。写真のバイクのSIX13には似合いすぎなくらい似合ってますが、僕のクソミドリアシッドグリーンのオプティモにはちょいミスマッチな気はあります。

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微妙ですね。きしめんスポークとバカでかいKSYRIUM SLロゴのおかげか、実際に装着する前に想像してたよりか悪くないですが、黒リムの方が親和性が高いです。

気になる人は気になるであろう重量ですが、フロントが686g、リアが882gのペアで1568gでした。現行のキシエリのカタログ値はペア1520gなのでそれより重いんですね。まあマビックはカタログ値での鯖の読みっぷりに定評がありますし、実質同じくらいでしょう。元々装着していたWH-RS10が実測1910gだったので、350g程度の軽量化です。

調べたところによると、この頃のキシリウムSLのリム重量は410g前後らしいです。ちなみに現在のキシエリが410g前後で同程度、デュラC24(9000)が385g前後、初代レーゼロが420g前後と言われているようです。ですが、マビックのキシリウムエリート以上のホイールは先述のForeテクノロジーによってリムテープが不要となっているので、リムテープ1本分(約20g)を引くとリムテープが必要なデュラC24とほぼ遜色ないということになります。もちろん個体差がありますし一概には言えませんが、外周部の重量が軽いのは事実です。マビックのホイールはリムが軽くてハブとスポークが重い、てのはそれなりに知られてます。まーマビックはリム屋さんですからね。

これは僕の個人的で稚拙な意見ですが、外周部の軽量化はハブやスポークの軽量化よりよっぽど重要だと思います。ワ○ズロードなんかのHPで廉価なホイールを紹介する時の売り文句に、「外周部重量が重いので、漕ぎ出しは重めだけれど速度に載せてしまえば維持は楽」なんてのをよく見かけますが、どうもあれは子供騙しというか初心者騙しの眉唾にしか見えません。仮に路面抵抗や空気抵抗などを始めとする、移動する物体に対してかかる様々な種類の抵抗が存在しない空間が存在しそこで自転車に乗れるとすれば重いリムの方が速いのかもしれませんが、現実的にはその手の抵抗はライダーに重くのしかかってきます。抵抗に抗って同じ速度を維持しようとすれば、ライダー側は常に加速しているってことになるわけです。加速時には慣性モーメントの小ささが重要なのは周知の事実ですね。物体はエネルギーを入力しなければ移動しません。

そもそも、本当に外周部が重けりゃ巡航が速いなら、プロは平坦なTTステージで比重の大きい物質のクソ重いリムを使ってます。全元素中で最も比重の大きい物質であるオスミウムは比重がアルミの約8.5倍なので、例えばリム重量600gのWH-R500-C30のリムをアルミの代わりにオスミウムで作れば(現実的に可能かどうかは知りませんが)、リム重量5kgオーバーのホイールが作れます。メカニックはホイール交換だけで一苦労です。次第にリムの重量化競争が加熱していくにつれて、重労働に耐えかねてメカニック人口が減り、ロードレース業界は更に窮地へと追いやられ、UCIも重量の下限の代わりに上限を設定することでしょう。

与太話が過ぎたのでそろそろ実走に入ります。

僕の感覚が鈍りきっているのか、最初の漕ぎ出しはさほど軽さを感じませんでしたが、シッティングで普段通りにくるくる回し始めるとスピードの乗りの良さを感じました。平地巡航も同様で、するすると加速していきます。ホイールを交換するとギアが何枚軽く感じたといった表現をよく見ますが、それというよりは、常に追い風に乗っているかのような感覚を覚えます。

登坂はシッティングでもダンシングでも楽に登れるのですが、特にダンシング時が好印象でした。イソパルススポーキングかジクラルスポークか、はたまたリム剛性に起因するのかは分かりませんが、以前感じていたバイクのウィップとホイールのたわみがシンクロしていない感覚がなくなり、シャキシャキ登るようになりました。この傾向は平地で高トルクを掛けた際にも見られ、ペダリングに合わせてカンカン進みます。

一般的に硬いと言われる高剛性リムにアルミスポークということで、最大の懸念要因だった乗り心地なのですが、これが意外と良くてびっくりしました。よく聞く脚に来るという感覚もありません。13年前のホイールの上中古なので、金属疲労によるものかもしれませんね。マビックのリム精度の高さや、1bar程タイヤの空気圧を落としたのも+に働いているかと思います。

また、クソだゴミだと散々な言われようのハブですが、前オーナーさんのメンテナンスかよかったのか普通に転がりました。普通に走っていて渋いとか転がらないって感覚はしません。フリーのラチェット音は下品すぎない程度のやかましさで、カンパ系に比べると低周波のジリジリ音で、僕はこっちの方が好みでした。歩行者除けには十分ですし。

 

まとめです。車体とのビジュアル的なマッチングこそ微妙ですが、その他の点では全方位大満足なホイールでした。今のところ本当にケチの付けようが無くて困ってます。次回はシマニョーロ化についての記事を書こうかと思います。それではまた。