スカイ・ライダーズ

自転車に乗ります

猿でも分かるダサくならない自転車の弄り方

初めに言っておきますが、この記事は僕の独断と偏見によるものです。初心者向けです。なのでどうしても自転車が壊滅的にダサくなる、ダサいと言われる!という人だけ参考にしてください。あ、ちなみに僕は自分の自転車をさして格好良いと思っている訳ではないので叩かないでくださいね。また、ヴィンテージバイクについて考慮した内容ではない点はご了承ください。

では早速入っていきましょう。

まずはフレーム/完成車選び。これは基本的にはなんでもいいです。メーカーによってきちんとデザインされているもんなんで、この時点でダサいってことは滅多にありません。明暗が分かれるのは、フレーム(完成車)を選んだのちにパーツを自分で選んでゆく段階です。

とりあえずやるべきこと、やってはいけないことを箇条書きにまとめてみました。

  1. 使う色は黒に加えて0〜2色、多くて3色にする

  2. カラータイヤは使わない

  3. フレームのロゴのカラーと各パーツのロゴのカラーを極力合わせる

  4. クランクはケチらない

  5. 派手なフレーム×派手なパーツは避ける

  6. 差し色に面積を取りすぎない

  7. カッティングシート、ステッカーを貼らない

  8. パーツのブランドはできる限り合わせる

  9. バーテープで遊びすぎない

  10. パーツの色を揃える際には、色だけでなくその色彩にも気を払う

 

恐らくですが、これらを守るだけでもダサくはない自転車が組めるはずです。

さて、順番に詳しく見ていきましょう。

 

 1.使う色は黒に加えて0〜2色、多くて3色にする。

これは至極単純な理由で、色が多すぎるとまとまりが悪くなり、格好良く組むのが難しいからです。ボルトやディレイラーの羽などの細かい部分のシルバーカラーは必然的に入ってきますし、目立つものでもないのでカウントしなくていいでしょう。

説明の必要もないかと思いますが、黒に加えてとあるのは、タイヤは無論のこと、ステム、ハンドル、シートポスト、コンポーネントなど大抵の部品は黒基調である場合が多いためです。十数年前まではそれらはポリッシュシルバーを基調としたものがほとんどでしたが。

3色以上で最も組み上げやすい凡例のひとつが、黒×白(銀)×赤です。一般的に流通するロードバイクのパーツのカラーは黒、白、赤の順で多いので、細かい部分にも差し色を反映しやすいためです。困ったらモノトーン、もしくは黒白赤で間違いないでしょう。個性は出しにくいですけどね。

あ、最初にフレームはなんでもいいと述べましたが、モノトーン以外の色を使ってみたい方は、黒地に黒/グレーロゴのフレームは選ばない方が良いです(例えばキャノンデールのBBQカラーなど)。あのテのフレームは他のパーツも真っ黒で組むとめちゃくちゃ格好良いんですが、変に差し色を入れようとするとフレームに色彩が無い故にちぐはぐになりがちです。最悪なのは、蛍光色のバーテープに蛍光色のカッティングとか貼っちゃうやつです。主に中高生に多く見られます。気を付けましょうね。

 

2.カラータイヤは使わない。

これも説明不要です。絶対買うな。99%ダサくなります。バリバリのカラータイヤをイケてると思ってらっしゃる方がこの記事を見てらしましたら、僕とは一生相容れないのでここら辺でブラウザバックした方が良いかと思います。

飴タイヤは非常に難しいところで、上手く履きこなせば相当格好良いです。が、エラソーにのたまっている僕も未だに格好良い使い方の法則を見つけられていません。多分ですけど、タイヤ以外で使われている色が2色以下だと格好良いんじゃないかと思ってます。

 

3.フレームのロゴのカラーと各パーツのロゴのカラーを極力合わせる。

特にホイールです。フレームのメーカーロゴのカラーが白の場合は白も良いと思いますが、それ以外は基本的に黒にしましょう。ローハイトならばさして気にすることも無いかもしれませんが、ことディープリムに関してはこれの重要性が高いと思います。ZIPPやCOSMICなど、格好良く目立つロゴを鮮やかなホワイトで主張したい気持ちは分かりますが、フレームのロゴが黒いのに対しホイールのロゴが白だとホイールのみが悪目立ちしすぎます。

ステム、シートポストなんかは合わせられたらいいね、くらいの感覚でいいでしょう。そこまで目立ちはしません。クランクやコンポなんかは無理があるんで、余程こだわらない限り気にすることはないかと思います。

 
4.クランクはケチらない。

クランクは自転車の顔とも呼ばれる部品で、大きく印象を左右します。STIディレイラー、ブレーキなど他のコンポより2~3グレード上でも良いでしょう。身も蓋もないことを言うようですが、ぶっちゃけ、ポジションがしっかり出ていてクランクとホイールに良いのが付いてれば、ロードなんてぱっと見格好良く見えるもんです。

クランクのみSORAのフルデュラ組とクランクのみデュラのフルSORA組で他が全て同じ自転車があったら、多分後者の方がまだ格好良く見えると思います。

105組のロードにクランクのみデュラなんてのはしばしば見かけますね。貧乏臭いと揶揄されることもありますが、チャリンカスは何かにつけて他人を貶す生き物なので特に気にしなくていいでしょう。クランクも105のままよりか全然マシだと思います。まあ全部デュラで揃えられたらそれに越したことはないですが。

 

5.派手なフレーム×派手なパーツは避ける。

ケバくなりがちなので。以上。

 

6.差し色に面積を取りすぎない。

例えば黒と白と赤で組んだロードで、ステムだけ真っ赤な状態を想像してみてください。そこだけが悪目立ちして調和が崩れますよね。そういうことです。大人しく白か黒を使いましょう。

 

7. カッティングシート、ステッカーを貼らない。

何十年も自転車作ってるメーカーが考え抜いて施したデザインにただのオタクの手前ェが上塗りするな、ってだけです。やるならその前に自分のセンスを落ち着いて顧みてみましょうね。

 

8.パーツのブランドはできる限り合わせる。

例えばハンドルとステムのブランドを揃えるということです。DedaならDeda、3Tなら3T、のように。当然デザインに調和が取れます。ステムとシートポストなんかも、横から見たときに揃っていると格好良く見えます。ハンドル、ステム、シートポスト、ボトルケージ、ホイールが全部ZIPPで揃ってるのなんか最高ですよね。僕もいつかカネができたらやってみたいものです。

 

9.バーテープで遊びすぎない。

その1で少し述べましたが、いきなりバーテープに他の部分に使われていない色を使うなんてのは論外です。僕は基本的にはステムの色と合わせるのが格好良いと思っていますが、これはフレームに合わせるなど人それぞれでしょう。ただ、リ○ードスキンやス○カズ、g○eeなんかの主張が激しいバーテープはセンスに自信がある方以外にはあまりお勧めしません。シケた面したキモオタクがSupremeだかStussyだかを着てるみたいになりがちです。

 

10.パーツの色を揃える際には、色だけでなくその色調にも気を払う

これはちょっと差し色を覚えた中級者気取りにありがちで、ボルトやらボトルケージやらに同じ差し色を入れる際に、色調を見ずにとりあえず赤なら赤!てな具合でかき集めちゃうってことがあります。例えば同じ赤でも、マットな質感のビビッドレッドと、メタリックな質感の朱色に近いレッドでは全くの別物です。そしてそれらの微妙に色調の違う似た色が織り混ざっているのはかなり格好悪いです。

 

まとめ

ここまて述べてきたやるべきこと、やってはいけないことは、あくまで僕を含む多くのロードバイク初心者に限った話です。もちろんたくさんの色を使ったり派手なフレームに派手なパーツを合わせて格好良い自転車を作っている人だって大勢います。

当たり前のことしか言ってねえじゃんかよ、と思った方、それがフツーです。すみません。

お気付きの方もいらっしゃるかとは思いますが、色を使いすぎないとか派手×派手は避けるだとか、ファッションにも当てはまることなんですよね。まあロードバイクにハマるようなニンゲンってのはオタクばっかですし、オタクという生き物にファッションセンスなんてものを求めるのは筋違いと言うものですが。

ファッションもチャリも同じで、初心者は冒険しすぎないことが大事だと僕は思います。遊ぶのは上級者になってからって感じでいいんじゃないでしょうか。ではまた。

 

ちばから食った

書くことがなさすぎてとうとうラーメンブログもどきに手を出してしまいました。読まなくていいです。読まないでください。

 

千葉県市原市に本店を構え、現地で好評を博している二郎インスパイア系、「ちばから」が、国境を超えて都内へと進出してきたらしいので行ってきました。ちばからのからってなんだろう。

お店は渋谷駅から徒歩数分のラブホ街にあります。ラブホにログインする前に二郎系食って精力付けろ、てなメッセージでしょうか。僕が女だったら二郎食った直後の男なんてキスもしたくないですけどね。

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看板です。豚・脂・筋。筋...?

土曜の昼間に赴いたため、店の前には十人程の列がなされていました。食券を買い、並んで待ちます。

お初なので、一番オーソドックスなラーメンをチョイスしました。890円。高っ。

直系は無論インスパイアとしてもかなり高いです。まあ土地柄仕方ない感じもありますが、ちと高すぎやしないでしょうか。せめて850円ならギリ許容範囲内なんですが。

20分ほど待つと、暴利を貪って丸々と肥えた店員に店内へと通されます。どうでもいいですが、この店員の態度がかなり横柄で(主観ですが目黒二郎を軽く超えるレベル)、直接何か言われた訳ではありませんが、少し鼻につきました。これは僕の持論ですが、接客業の店員は基本的に敬語はマストで、客も敬語を使うべきだと考えてます。年齢差の如何に関わらず、丁寧語くらいは使って然るべきじゃないでしょうか。我々は店員と客である前に、他人同士です。僕が接客業を少しやっていた時は小学生相手にも丁寧語は使ってました。接客業嫌いだし向いてないんで秒で辞めましたが。

話が逸れました。店内はウッド基調で、二郎系にしてはこざっぱりとした内装に、カウンター10席ほどと、テーブル席が4卓。そして目に飛び込んでくるこの貼り紙。


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味のお好みのコール等の際ですが

にんにくはデフォでは入っておりません。

「にんにく抜きー」「にんにく無しで」は、ほとんどの場合私たちには、

「にんにくネギ」に聞こえてしまいます。

にんにくを入れたくないお客様は「にんにく」という単語を発声しないことをお勧めします。

 

こんなん笑うしかないでしょう。ワードセンスといい、どことなくユーモアを感じる文体といい秀逸です。真面目に話してるのに何故か失笑起きがちなタイプだと思います、これ書いた人。

 

 貼り紙ににんにくネギとあるように、ここは珍しくトッピングにネギがあります。ですが、なんも考えずに脳死でコールしてしまったので味わえませんでした。いつものようにヤサイニンニクマシと、来店したことのあるダチの勧めでカラメをコールしました。


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ブツです。あんまうまそうじゃないですね。

ヤサイはモヤシ9キャベツ1くらいで、茹で具合はかなりシャキシャキ感が残る固めでした。同じく渋谷に店を構えるインスパイア系、凛のヤサイに似てます。僕は三田二郎のようなクタ野菜が好みなので個人的にはマイナスポイントです。

ブタは分厚いものが1枚です。これまた凛に似ていて、直系では見られないホロホロと口の中で解けるブタです。ブタ無しラーメンとラーメンは値段が140円違うのですが、その価格差なりの価値はあります。うまいです。

麺はかなりうまいです。加水率が低いのでしょう、コシのある、味わい深い麺です。堅さも良い。

スープはドが付く乳化系です。少なくとも僕が食ったことのある直系、インスパイアではここまでの乳化は見たことないです。味はやや甘さが強く、関内二郎の甘辛さから辛さを抜き、醤油を尖らせた感じとでも言いましょうか。比較的好みが分かれそうではありますが、フツーにうまいです。

味に関してはそこそこ高レベルでまとまっていると思います。ただ麺量が300gと少ないので、食べ応えは微妙です。

 

トータルで見ると、前評判の高さから期待しすぎたのか、いささか期待外れだった感がありました。味は特に文句の付け所はありませんが、言うほどか?って感じでしたし、コスパと接客が減点ポイントです。

一食の価値はあると思いますし、渋谷で二郎系が食いたくなったら凛と並んで筆頭候補ですが、それ以上のものではないと僕は感じました。ああ三田二郎食いてぇ。

イコールプーリーでお手軽シマニョーロ

この間恵比寿駅にほど近い広場で輪行袋にチャリンコを詰めていたら突如警官3人に囲まれまして、アァとうとうこのブログにも言論統制が...などと絶望的な気分になりながら尋問(?)を受けていたんですが、話を聞くところによると彼らはどうやら輪行袋を広げる僕を見てテントを張っていると思ったようです。そりゃねえよ。

GWが暇すぎたのでシマニョーロをしました。10速です。

シマニョーロとはなんぞや?と言う方。簡潔に言えばSTIのみカンパエルゴに換装してシマノのコンポを動かすっつー裏技的なやつです。他にもシフトメイトや大回しなどの手法が編み出されていますが、僕はいちばん楽ですっきりしているイコールプーリーを使用するやり方を選択しました。タイトルが「レンジで簡単茶碗蒸し」的なノリなのもそのせいです。

 

用意した材料です。

  • シマノ RD-6700-SS
  • カンパニョーロ アテナ エルゴパワー('10)
  • グロータック イコールプーリー(赤)

以上です。お手軽ですね。中古パーツばっかを寄せ集めたので、総じて2万円も掛かってません。僕は特にリア11枚目の必要性を感じなかったので10sのままでシマニョることにしましたが、10s環境から11s化する場合でもRDは10s用を使えるため、イコールプーリーの色を金にして、11sスプロケを買い足すだけなので2万を少し超えるくらいの出資で済みます。下手したら6800アルテの中古で11s化するより安いかもしれません。どうせ値段が同じくらいなら面白いことしたくないですか?僕はしたいです。

このへんは調べればすぐ分かることですが、4700系Tiagra以外の10s環境をお使いの方はここからRDの購入が不要になります。4700はワイヤー引き量の点で孤立しているため、使用可能なイコールプーリーが存在しないので10sRDを別途買う必要がありました。また、用意するエルゴパワーはウルトラシフトであることが必須になります。ここで注意がありまして、僕はアテナのエルゴを使用していますが、基本的にはアテナのエルゴはパワーシフトなのでイコールプーリーでのシマニョーロ化には使えません。僕が今回購入した11s最初期モデル(2010年モデル)のみウルトラシフトに対応しているので使用できます。パワーシフトとウルトラシフトを簡単に見分ける方法として、エルゴ内側のリア変速レバー下部に大きな溝が切られているか否か、というのがあります。溝が切られていれば多段シフト可能なウルトラシフト、切られていなければパワーシフトです。コーラス以上は11s化以降ならば全てウルトラシフト対応なので、無条件に使用可能です。12速?知ったこっちゃねえよ。詳しくはグロータックの公式互換表を貼っつけとくのでそれを参照してください。


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ちなみにFDは互換表に関係なく10sでも11sでも正直なんでも使えます。基本的にフロント変速はアバウトです。サードパーティ製でシマスラカンパ兼用みたいなチェーンリングが普通に売ってるくらいですからね。僕はFD-4700で組みました。FD-4700は現行ティアグラのパーツでは一番有用ですね。ロングアームで変速性能は十ニ分、見た目もだいぶ注視しなきゃほぼアルテです。後発下位グレードのFD-R3000の方が引きが軽いという話はありますが。

あと、BR-7900以降のブレーキとカンパエルゴは引き量の問題から公式だと危険性のため使用禁止の互換ってことになってます。なので本当はカンパ用ブレーキも用意した方が好ましいです。まあ実際は普通に使えちゃうので気にしなくてもいいかもしれませんが、推奨はしません。詳しくは僕の過去記事に詳しいです。

さて、シマニョーロとして組んでゆく前に、まずは材料の下ごしらえとしてエルゴパワーにイコールプーリーを組み込む必要があります。これは非常に単純な作業で、特に特殊な技能は要りません。右手側のレバー内部の黒い純正プーリーをアーレンキーで外して、同じ場所にイコールプーリーを取り付けるだけです。ちなみに僕の買ったエルゴでは純正プーリーがクソアホみてーなトルクで締め付けられてて外すのにそこそこ苦心しました。

小細工が必要なのはこれくらいで、あとはフツーに組むだけなので作業内容は割愛します。一つ気をつける点として、シフトワイヤーを通す際には両手側共に親指側のシフターを押し切る必要があります。これをやらないとケーブルを通してもシフトワイヤーを引きません。調整はシマノと同じようにやればオールオッケーです。更にいくつか付け加えるとすれば、カンパのレバーフードはめちゃくちゃ剥がしにくいです。あと、T25トルクスレンチを用意しましょう。エルゴ取り付け時に必要になります。エルゴに限らずカンパはトルクスレンチが用いられてるパーツが多いです。

シフトワイヤーなんですが、結論から言えばシマノ用でも使えます。シマノとカンパではタイコの直径が違うのですが(シマノ:4.4mm、カンパ:3.9mm)、カンパエルゴのワイヤー受けはカンパワイヤー装着時にいくらか隙間ができる作りになっていて、シマノワイヤーがこれにちょうどぴったり嵌まります。なんですがこれ、ぴったりすぎて固着する可能性もあるらしく推奨はできまないので、あくまで可能という話です。気になる人はタイコを削るなんかして加工してください。

 

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 完成です。

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有機的な曲線で構成され、3Kカーボンを身に纏ったエルゴパワーの優美さはシマノにはない華があります。バーテープの巻き方がへったくそなのは見逃してください。どうでもいいですけど、このアテナエルゴはアルミレバーにカーボンラップです。化粧カーボンってやつですね。

肝心の操作感に入りましょう。まずシフトですが、イコールプーリーによるシンクロ率は完璧で、しっかり調整すれば全くチャラつきません。フィーリングとしては、シマノと比較すると全体的にボタン類の押し応えがしっかりあることが目立ちます。特に親指シフターを押した時など、強めのバチッという感覚があります。変速自体のショックがあるという訳ではないですし、引きが重いということもありません。あくまでレバーの反応の話です。僕としてはこの感触がかなり好みで、ギアチェンジが楽しくなりました。積極的にシフターを操作したくなります。またウルトラシフトの特徴である5段飛ばしシフターはしっかりバチバチバチバチバチッ!と飛ばした分だけのショックを伝えるのですが、変速自体は一気に5段飛ばしでした。これも結構癖になります。面白いです。必要となる機会があるかどうかには疑問がありますが、それを追究するのは野暮というものでしょう。また、フロント変速に関しては至って普通なので特に言うことはありません。一般的に他モデルから互換性の点で孤立しているFD-4700でも問題なくスパスパ変速します。懸念だったトリム操作もばっちりです。ま、フロントは変速が2枚しかないんで多少アバウトでもさほど問題ありません。ケセラセラの精神で突っ込んじゃいましょう。

突起部の小ささからブレーキも握り込みやすいです。やはり絶対的な制動力という点では同グレードのシマノ製品にやや劣りますが、スピードコントロールは格段にしやすく感じられました。

 

これは私見ですが、シフト時の感覚、ブレーキタッチのいずれに共通してシマノとカンパの目指す方向性の差異が析出しているようで興味深いです。シマノは操作感をなるべく少なくすることに尽力しているようで、つまり極力ストレスフリーな方向へ進化しているように感じます。Di2なんかはその精神の賜物でしょう。僕は試乗程度でしか触れたことがないですが。対するカンパは、やはりフィーリング重視でしょうか。変速したぞ、ブレーキ掛けてるぞ、てなリアクションをしっかりと返すような設計に意図的にされているのを感じます。工業製品に対するアプローチとしては前者が優れているように思えますが、実際に人が操るスポーツ機材に対するアプローチとしては甲乙付け難いところです。実際にカンパを使用する競技者が第一線でも存在することがそれを裏付けていると言っても良いでしょう。

プロのように絶対的性能を重視する必要のない我々ホビーライダーにとっては、カンパニョーロは一層魅力的な選択肢だと僕は考えます。外通や中古パーツを上手く活用することで、シマノと大差ない価格で組めるとすれば、多くの方にとって一考の価値はあるのではないでしょうか。

 

MAVIC Ksyrium SSC SLを買いました。

ほんとはワイドリムの中華カーボンクリンチャーなんかを買おうかな〜と思ってたんですが、気が付いたら13年前のキシリウムが生えていたというのが今回の話です。生えてしまったものは仕方ないので美味しく頂こうと思います。

ところで僕は余談というものが非常に大好きでして、記事を書いていても気が付けば余談が半分くらいとか余談の方が多いとかってことがままあるのですが、今回も例によってそんな感じになりそうなんで、興味のない方は適宜読み飛ばして下されば幸いです。

今日まで息づくキシリウ厶シリーズの歴史を辿ると、初代のキシリウムは'99年に登場しています。それまでも'94年初出のコスミックや'96年初出のヘリウ厶などの完組ホイールは存在したのですが、リムに直接ニップルをドリリングするForeテクノロジーやジクラル(アルミ)スポーク、DSをラジアル組NDSをクロス組としたイソパルススポーキングなど、完組ホイールでしか実現し得ない要素を盛り込んだ革命児的ホイールとして初代キシリウムはリリースされました。'02年モデルのキシリウムSLからは今でもお馴染みであるリム切削技術のISMが導入され、更に軽量化されると同時にほぼ現在の形となっています。現在こそカンパニョーロ(フルクラム)にも採用されているリム切削やアルミの極太スポークですが、それらの技術を最初にカンパが使用したホイールは、僕の知識が確かならばキシリウムSLから遅れること3年、'05年モデルのユーラス、レーシング1です。つまりこれらを最初にやり出したのはマビックで、カンパは後出しジャンケンなんですね。だからなんだという話なんですけど。

そのキシリウムSLの'04〜'05モデルが今回生えてきたホイールです。この世代は無印キシリウムキシリウムエリート、キシリウムSLの順にグレードが上がるので、当然ハイエンドモデルです。Foreテクノロジー、ジクラルスポーク、イソパルス、ISMが全部盛りです。今のキシリウムのハイエンドと比較して足りないのはオフセットリアリムとエグザリットくらいなもんですね。初代キシリウムが出た'00年前後はカーボンホイールはまだまだ未発達の領域で、かのランス・アームストロングを筆頭にキシリウムを愛用するプロ選手も多かったんですが、カーボンホイールの急速な発達と共に徐々にキシリウムはプロユースの最前線から退いてゆきました。とは言っても今回買ったキシリウムSLはギリギリUCIワールドチームクラスのトッププロにも使われていたことが散見できます。

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'05年にサエコキャノンデールがランプレに吸収され、ランプレ・カフィータとなっていた時代のチームバイクにキシリウムSLが使用されています。SIX13かっけー。もっとも翌年'06年からはチーム名がランプレ・フォンディタルに変更されるのと同時にバイクもウィリエールに変更、ホイールサプライヤーもフルクラムとなってしまいました。

ホイールの話に戻ります。先の画像を見ての通り、前作までの黒基調から一転、これでもかってくらいにシルバーシルバーしたデザインです。写真のバイクのSIX13には似合いすぎなくらい似合ってますが、僕のクソミドリアシッドグリーンのオプティモにはちょいミスマッチな気はあります。

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微妙ですね。きしめんスポークとバカでかいKSYRIUM SLロゴのおかげか、実際に装着する前に想像してたよりか悪くないですが、黒リムの方が親和性が高いです。

気になる人は気になるであろう重量ですが、フロントが686g、リアが882gのペアで1568gでした。現行のキシエリのカタログ値はペア1520gなのでそれより重いんですね。まあマビックはカタログ値での鯖の読みっぷりに定評がありますし、実質同じくらいでしょう。元々装着していたWH-RS10が実測1910gだったので、350g程度の軽量化です。

調べたところによると、この頃のキシリウムSLのリム重量は410g前後らしいです。ちなみに現在のキシエリが410g前後で同程度、デュラC24(9000)が385g前後、初代レーゼロが420g前後と言われているようです。ですが、マビックのキシリウムエリート以上のホイールは先述のForeテクノロジーによってリムテープが不要となっているので、リムテープ1本分(約20g)を引くとリムテープが必要なデュラC24とほぼ遜色ないということになります。もちろん個体差がありますし一概には言えませんが、外周部の重量が軽いのは事実です。マビックのホイールはリムが軽くてハブとスポークが重い、てのはそれなりに知られてます。まーマビックはリム屋さんですからね。

これは僕の個人的で稚拙な意見ですが、外周部の軽量化はハブやスポークの軽量化よりよっぽど重要だと思います。ワ○ズロードなんかのHPで廉価なホイールを紹介する時の売り文句に、「外周部重量が重いので、漕ぎ出しは重めだけれど速度に載せてしまえば維持は楽」なんてのをよく見かけますが、どうもあれは子供騙しというか初心者騙しの眉唾にしか見えません。仮に路面抵抗や空気抵抗などを始めとする、移動する物体に対してかかる様々な種類の抵抗が存在しない空間が存在しそこで自転車に乗れるとすれば重いリムの方が速いのかもしれませんが、現実的にはその手の抵抗はライダーに重くのしかかってきます。抵抗に抗って同じ速度を維持しようとすれば、ライダー側は常に加速しているってことになるわけです。加速時には慣性モーメントの小ささが重要なのは周知の事実ですね。物体はエネルギーを入力しなければ移動しません。

そもそも、本当に外周部が重けりゃ巡航が速いなら、プロは平坦なTTステージで比重の大きい物質のクソ重いリムを使ってます。全元素中で最も比重の大きい物質であるオスミウムは比重がアルミの約8.5倍なので、例えばリム重量600gのWH-R500-C30のリムをアルミの代わりにオスミウムで作れば(現実的に可能かどうかは知りませんが)、リム重量5kgオーバーのホイールが作れます。メカニックはホイール交換だけで一苦労です。次第にリムの重量化競争が加熱していくにつれて、重労働に耐えかねてメカニック人口が減り、ロードレース業界は更に窮地へと追いやられ、UCIも重量の下限の代わりに上限を設定することでしょう。

与太話が過ぎたのでそろそろ実走に入ります。

僕の感覚が鈍りきっているのか、最初の漕ぎ出しはさほど軽さを感じませんでしたが、シッティングで普段通りにくるくる回し始めるとスピードの乗りの良さを感じました。平地巡航も同様で、するすると加速していきます。ホイールを交換するとギアが何枚軽く感じたといった表現をよく見ますが、それというよりは、常に追い風に乗っているかのような感覚を覚えます。

登坂はシッティングでもダンシングでも楽に登れるのですが、特にダンシング時が好印象でした。イソパルススポーキングかジクラルスポークか、はたまたリム剛性に起因するのかは分かりませんが、以前感じていたバイクのウィップとホイールのたわみがシンクロしていない感覚がなくなり、シャキシャキ登るようになりました。この傾向は平地で高トルクを掛けた際にも見られ、ペダリングに合わせてカンカン進みます。

一般的に硬いと言われる高剛性リムにアルミスポークということで、最大の懸念要因だった乗り心地なのですが、これが意外と良くてびっくりしました。よく聞く脚に来るという感覚もありません。13年前のホイールの上中古なので、金属疲労によるものかもしれませんね。マビックのリム精度の高さや、1bar程タイヤの空気圧を落としたのも+に働いているかと思います。

また、クソだゴミだと散々な言われようのハブですが、前オーナーさんのメンテナンスかよかったのか普通に転がりました。普通に走っていて渋いとか転がらないって感覚はしません。フリーのラチェット音は下品すぎない程度のやかましさで、カンパ系に比べると低周波のジリジリ音で、僕はこっちの方が好みでした。歩行者除けには十分ですし。

 

まとめです。車体とのビジュアル的なマッチングこそ微妙ですが、その他の点では全方位大満足なホイールでした。今のところ本当にケチの付けようが無くて困ってます。次回はシマニョーロ化についての記事を書こうかと思います。それではまた。

純正タイヤからコンチネンタルGP4000S2へ (比較)

この間コラムカットをした時に、プロショップのおにーさんにそろそろタイヤの交換が必要だね、と言われたのでタイヤを変えました。シュワルベ・ルガノくん、1年半お疲れ様です。タイヤを新調するにあたって、ロード乗りの知り合いにはシュワルベワンを勧められ、自分ではハッチソンのフュージョン5ギャラクティカなんかが欲しいかなあと〜思ってたんですが、安いとこ探すのも面倒だったんで定番のGP4000S2を選んだという経緯があります。耐久性が高めなのでランニングコストも低くなりますし。どうでもいいですね。

本題に入る前に、定番の定番、日本人へのiPhoneのシェア並の普及率を誇り、掃いて捨てる程ネット上にインプレが転がっているGP4000S2の記事をなんで今更書くのかっちゅー話をちょっとします。インターネッツに見られるこのタイヤに関する私的な記事は、「各社フラッグシップタイヤとの比較」と「純正タイヤとの比較」に大きく二分されると僕は分析してます。前者は有名ブロガー(笑)みてえな偉〜〜〜〜いお方がそれはもう圧倒的かつゴージャスかつワンダフルかつアンビリーバブルな情報量で書いてるパターンが多く、後者はどこの馬の骨とも知れないチャリンカスが、「巡航速くなった!w買ってよかった〜😂」というような非常に質素で簡潔でカジュアルで口当たりの軽い文章に帰結しているパターンが多いです。そして今回僕は後者側の記事をなるべく粘っこくしつこく書くという試みに挑戦することを決意した、ってわけです。僕もどこの馬の骨ともの知れないチャリンカスの一人なんですが。

 

まず今回GP4000S2の比較対象となる(哀れな)タイヤは、冒頭でも触れたシュワルベ・ルガノです。実売1本2000円程度の、まともなメーカーのボトムレンジですね。ネットでの評判はかなり悪いです。ヴィットリアだとザフィーロ、コンチだとウルスポなんかと競合します。

コンチ全般に言えることがどうかは知りませんが、このGP4000S2については実際のタイヤ幅が表記値より太いことで結構有名です。それを考慮したのと、今使っているホイール(WH-RS10)がナローリムなので23cを検討していたのですが、25cの方が安く買えそうだったので25cにしてみました。まあいずれホイールを買い換えるとしてもこのご時世です、きっとワイドリムだしまあいっか〜、ってなノリです。


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パッケージではお馴染みコンチネンタル・マダムが好戦的な視線を浴びせかけてきます。製造者が消費者を見下すというコンチネンタルの姿勢には最早あっぱれと言うほかないでしょう。このおばちゃん、前作GP4000Sでは4人だったのがS2で二人に減ったらしいです。やはりリストラでしょうか。

余談はさておき。コンチのタイヤは嵌めにくいとよく言いますが、特にそんなこともなくわりかしあっさりと嵌まりました。ルガノと大して変わんないです。

また、やはりタイヤ幅はだいぶ太めです。装着時は実測で27mm近くあり、同じ25cのルガノと比較してももっこり感がだいぶ増します。これは見てくれ的にも走行性能的にもあんまし好ましい事ではないのでぼちぼちおニューのホイールを探さなきゃですね。また、フレームによってはクリアランスが足りずフレームに擦る可能性もあるので注意が必要です。

 

早速走行インプレに入ります。もちろんこれは僕個人の感想であって、人によって感覚は違うので参考程度にお願いします。ちなみにチューブはコンチネンタル、空気圧はルガノで走っていたときと条件を揃えてフロント6.5barリア7barです。

まず漕ぎ出し〜加速時の感覚ですが、ルガノと変わらないです。重量的にはこのタイヤは公称225gと、他社フラッグシップと比較してもそこそこ軽量な方で(例えばVittoria CORSA G+が250g)、公称重量が350g(!)のルガノと比較すると前後で200g以上軽くなっているはずなのですが、僕が鈍いのか感じ取れませんでした。あ、登りは少し楽になったような気がしないでもないです。よく聞く「ギアが1枚軽くなった」みたいなペダリングが軽い感覚は皆無ですが、転がり抵抗の低さからか、上死点/下死点付近で駆動力が掛かっていなかったり弱まったりしている時の失速が若干抑えられているような気がしないでもないです。まあ要は誤差範囲ってことですね。GP SUPERSONIC(23c/150g)くらいまで行けば感じられるのかもしれませんね。

巡航性能の向上は明白に感じました。巡航性能の向上と言っても、巡航するのが楽というのは適切な表現ではなく、スピードを載せるのが容易というよりは、いつも通りの強度で回しているのにメーターを見ると数km/h速度が乗っている、という感覚に近いです。これもやはり路面抵抗の低さからくるものでしょう。登り坂や加速では外周部の重量が大きなファクターを占めてきますが、平地巡航や下りでは軽量化よりも摩擦抵抗を減らす方が圧倒的に効いてきます。ハブなんかも然りです。

この性質は、惰性走行時に更に顕著となります。具体的な例えを出すとすれば、少し先の信号が赤になったのを目視して脚を止めて惰性走行+ちょいブレーキでゆるやかにスピードを落としていく、といった場面でルガノの感覚でそれをしていると、信号間近で想定よりスピードが落ちていなくてちょっとひやひやする、というような感じです。下り坂でも気持ちスピードが乗りやすい気がしました。あと足元から聞こえるゴーーーッって音が耳に心地良いです。

また、コーナリング性能の向上も大きく感じました。高速域からブレーキングしながらコーナーに突っ込むようなシチュエーションで、ルガノではブレーキング中にリアが流れるだとか、コーナリングフォースが足りないってことが多々あり怖い思いをすることも頻繁だったのですが、GP4000S2ではそれが無くなり、想像通りのラインをトレースできるようになりました。がっちりグリップするので安心して飛び込めます。

走りとしてはトータルで見ると速くなっているのは当然ですが、僕としてはそれよりも走っていて感じる「ああ、俺路面抵抗少ねえ乗り物に乗ってんな」という感覚がとても気持ち良くて気に入りました。

ここまでまあまあ褒めそやして来ましたが、このタイヤには大きなウィークポイントがあります。乗り心地です。これに関してはルガノよりもだいぶ酷いと感じました。

他社フラッグシップタイヤと比較するとGP4000S2の乗り心地がよろしくない、っつーのは事前に見聞きして知っていたましたし、ある程度の心構えはできていたのですが、シュワルベワンやPro4どころか安タイヤのルガノよりも劣悪な乗り心地だとは思っていなかったのでちょっとショックです。よくわからん表現で申し訳ないのですが、ルガノが「コン」と伝えてくる振動が「ゴン」になり、「ゴゴゴ」が「ガガガ」になります。僕は通学において、舗装の悪さで(僕の中で)悪名高い国道1号の川崎付近を利用するのですが、数km走っただけで手とお尻が悲鳴を上げました。手はTNIの超々ジュラルミン製のハンドルから、お尻はカーボンの板に等しいサドルから受ける振動攻撃はもはや新手の拷問です。先述のコンチネンタル・マダムがあのような表情をしている意味がようやく分かってきます。あれは彼女らからの「ふん!アンタ、生半可な覚悟でアタイたちの作ったタイヤを使おうとしてるんじゃないかい?そんなんじゃあ痛い目を見るわよ!」てなメッセージなのでしょう。

耐久性については未検証なので追って補足という形で付け足すかもしれませんが、一般的には耐久性が高いタイヤと言われていることは付け足しておきます。

 

まとめです。走行性能は純正タイヤからの変更で全方向において数段向上すると言えますが、(僕の場合)乗り心地については劣化するという結論に落ち着きました。ロングライドには向いていないかもしれませんが、クリテリウムなどレース用途には適したタイヤでしょう。あとドMの人はこのタイヤにするのがいいです。強く推奨します。

全然まともなこと書けてないですが、今回はこの辺で筆を置きます。では。 

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」感想

久しぶりに映画を観てきたので、自分の脳内の整理がてら思ったことを書いていこうかと思います。僕はこのテの文章を書くのにあまり慣れておらず、読み苦しい点も多いかと思いますがご了承ください。ちなみに、僕のブログを愛読してくださっている方 (そんな人間がいるかは甚だ疑問ですが)は前々回のブログでお気付きかもしれませんが、僕は感想文を書くときは文体を少し変えています。

 

様々な映画祭で高評価を受けアカデミー賞を初めとした賞を総ナメにしたとのありふれた触れ込みと、人間と怪物の愛の物語というテーマに興味を惹かれ、また奇しくもちょうど友人に誘われたのもあり、この映画、シェイプ・オブ・ウォーターを観賞した。僕がこの文章を書き始めたのは、ゴジラの巨大像で知られるTOHOシネマズ新宿で映画を観た帰路の副都心線東京メトロ11000系列車の車内でのことなので、当然僕の頭にはこの映画の内容(その意味するものはさておき)がまだ殆ど完璧に入っている。そして僕はこれからその前提で話を進めてゆく。すなわちそれはこの記事を読んでくださっている皆様とはスタートラインが違うということだ。例え話をしよう。学園モノのドラマや漫画、あるいは小説で、こんなシーンを見たことはないだろうか。朝、教室に入る主人公格の女子高生。彼女が着席すると、すかさず友人A(ことによるとそこにB,Cも付随して)が駆け寄ってきて、「ねえねえ、昨日の○○って番組見た?マジヤバかったよね〜!!△△があそこでさぁ(以下略)」などと、このような台詞をマシンガンのごとく捲し立てる。だがその女子高生はその番組を観ていない。しかし友人Aにとってその是非は関係ないのだ。当然、言葉の弾丸をたっぷりと浴びた彼女の抱く感情は困惑の二文字に尽きるだろう。例えが長くなってしまったが、僕と皆様方が置かれている状況はちょうどこれに似ていて、だから僕は、この友人Aにならないために、この映画の感想を語るにあたり、視聴者である皆様に最低限の説明をしなければならない。とは言っても、僕の拙い文章力では物語のデティールどころか、あらすじのみを語るにも不自由してしまうことは容易に想像がつく。インターネット・テクノロジーの発展というのは実に便利なもので、このような状況に陥った僕に対してとても見事な働きをしてくれる。下の文章を読んで頂こう。ここからはネタバレも含む内容となるので、見たくない方はブラウザバックするのをお勧めする。

 

1962年の冷戦下のアメリカ。発話障害の女性であるイライザは映画館の上にあるアパートでただ独りで暮らし、機密機関「航空宇宙研究センター」で清掃員として働いている。アパートの隣人であるゲイのジャイルズ、仕事場の同僚で不器用なイライザを気遣ってくれるアフリカ系女性のゼルダに支えられ、平穏な毎日をおくりながらも、彼女は恋人のない孤独な思いをつねに抱えている。

そんな日々のなか、宇宙センターに新メンバーのホフステトラー博士が一体の生物の入ったタンクを運び込む。普段はイライザに不遜な対応を見せる軍人ストリックランドが、生物を邪険に扱った報復を受けて指を失う騒ぎがあり、清掃のために部屋に入ったイライザは初めてその生物を直視する。生物は「半魚人」と呼べる異形の存在だったが、独特の凛々しさと気品を秘めた容貌をもち、イライザの心を揺り動かす。彼女は生物に好物のゆで卵を提供し、手話を教えて意思の疎通をはかる。ふたりは親密な関係となってゆく。

生物が運ばれてきた理由がやがて明らかになってゆく。アマゾンの奥地で神として現地人の崇拝を受けていたという生物を、ホフステトラーは人間に代わる宇宙飛行士としてロケットに乗せようと提案する。それに対しストリックランドは、生体解剖でこの生物の秘密を明らかにすべしと主張し、上官の同意を得る。これを知り動揺したイライザは、ジャイルズやゼルダに自らの思いを打ち明け、生物を救う計画に手を貸してほしいと懇願する。一方ソ連のスパイだったホフステトラーは、アメリカが生物の秘密を知って宇宙開発の優位に立つ前に、生物を殺すよう政府に命じられる。だがホフステトラーは貴重な生物を殺すことに反対する。

イライザはジャイルズ、ゼルダ、ホフステトラーの協力を得て宇宙センターより生物を救出し、雨で増水した日に彼を運河から水中に返す計画を立てる。そしてその日まで彼女は、生物を自分のアパートに隠して暮らす。他方、ホフステトラーは命令不服従によりソ連スパイに撃たれ、その後ストリックランドから拷問を受けて絶命する。ストリックランドはホフステトラーの最期の言葉から、ゼルダとイライザが救出を実行したと知る。

ゼルダの家へ向かい彼女を尋問するストリックランドに、ゼルダの夫はイライザが関わっていることをバラしてしまう。ストリックランドはイライザの家を目指し、彼女の身の危険を感じたゼルダは電話で逃亡を指示する。

イライザとジャイルズは生物を運河の水門に連れてゆき、別れを告げる。その時、後から追ってきたストリックランドが生物とイライザに向けて発砲する。イライザは意識を失うが、一命を取り留めた生物はストリックランドを殺害し、イライザを抱え海に飛び込む。

生物の驚異的な治癒能力で蘇生したイライザは、彼と共に海の中で幸せに暮らしてゆく。

シェイプ・オブ・ウォーター - Wikipedia

 

とまあこういった具合だ。非常に簡潔に、だが要点を捉えてある。僕ごときには逆立ちしたって書けない要約だ。

では早速、先述の要約を踏まえ、それに補足を加えつつ感想を綴ってゆく。先にお断りしておくが、これは僕という一個人の感想であり、製作者サイドの意図したものとは必ずしも一致しない。

 

主人公であるイライザと、彼女と懇意な(後に彼女が怪物を研究所から逃がすことに協力する)登場人物たちは、皆なんらかの社会的差別を受け得る要因を持つということが、この映画を紐解くにあたって重要な点だと僕は考えた。イライザは孤児であった過去を持ち、また発話障害を抱えている。

ほぼ同居人と化しているイライザの隣人ジャイルズはゲイだ。昨今こそ性的マイノリティーに対し理解ある世間になりつつあるが、元来同性愛に対する嫌悪意識は紀元前から深く根付くものであったとされており、旧約聖書にも同性愛は断罪されなければならない、との一節が存在する。医学界においてすら、つい20年ほど前まで、同性愛は精神疾患であり然るべき治療が必要との規定があったほどだ。舞台となる1960年代のアメリカにおいて、それに対する偏見や差別意識が非常に大きかったことは言うまでもない。

イライザの同僚、ゼルダアフリカ系アメリカ人である。設定の1962年当時、アメリカではアフリカ系アメリカ人をはじめとする有色人種への差別は未だに根強く、ジム・クロウ法も存在した時代だ。州によっては、黒人の血が入る者は白人との結婚を禁止されていた程である。こちらについても、差別意識が熾烈だったことは容易に想像できる。

そして、イライザの働く研究所に運び込まれてきた謎の怪物。彼は姿形こそ人間とはかけ離れたおぞましさであるものの、人間の意思を理解することはできる。当然のことであるが、彼は教育を受けてはいないので言語は持たず、喋ることもできない。だがイライザに手話を教えられた怪物は、徐々にそれを習得している。

怪物とコミニュケーションを取ってゆくうち、イライザはこう考えたのだろう。人間と同じように意思と知能を持ち、ただそれを表現するだけの術を持たないのみにすぎないこの怪物と発話障害の自分とは、いったい何が違うのだろうか?むしろ他の人間たちより、この怪物の方が自分に近いのではないだろうか?と。そしてその想いはいずれ愛へと発展することになる。物語の終盤、怪物がそう遠くない未来に殺されることを知った彼女は、怪物を逃がす計画を立てるのだ。

イライザの隣人ジャイルズは、イライザに協力を懇願されるも、その計画に反対していた。しかしその直後、世間話を続けた末に親密な関係となりかけていたパイ屋の主人に、ゲイであることをカミングアウトすると、途端に露骨な嫌悪感と共に店を追い出され、二度と来るなと突き放される。"ただゲイであるがためだけに"迫害を受けた彼はその時、"ただ姿形が半魚人であるがためだけに"殺されようとしている怪物と、それにシンパシーを感じるイライザの気持ちを痛感したと推察できる。

ゼルダも、黒人であるがためにストリックランドに心ない言葉で踏み躙られ、そこでイライザに共感し、協力を決意したのであろう。

クライマックスにおいて、ゼルダは結婚以来不満を感じながらも、それを切り出すことができず言いなりとさせられていた夫に対し、とうとう堪忍袋の緒が切れたとばかりに長年の不満を爆発させることができた。そしてイライザは、ストリックランドに心臓を撃ち抜かれて絶命しかけるものの、怪物の驚異的な能力によって生還し、怪物と共に海に飛び込み、幼少期の傷がえらとなり海中で怪物と幸せに暮らしてゆく、といった描写で映画は幕を閉じている。

彼女たちは、それぞれに対する偏見に対して立ち向かい、その結果として幸福を手にしている。これはさまざまな偏見や差別に対する救済を表現しているのではないだろうか。

ところで、ジャイルズに限っては、幸福を手にしたような描写をどうにも僕は読み取ることができなかった。もし読者の方々でそれを発見したという方は、是非コメントなどを残して頂けるとありがたい。

さて、ある物語になんらかのメッセージ性を持たせようとした時、ほぼ間違いなく採られるのが、悪役を配置するという手法だ。大抵の場合、物語の含むメッセージ性は主人公によって視聴者に伝えられる。悪役は、主人公の存在を対比的に鮮やかなものとし、また悪役が主人公に迫害を与えることは、視聴者に主人公へのシンパシーを感じさせ、感情移入を誘う。これによりメッセージ性が明らかなものになりやすくなる。

この物語において最大の悪役となっているのは、イライザが働く研究センターの警備員のリーダー格的立場であるストリックランドだ。彼は純粋な白人で、それなりに高い社会的地位、富、そして家族を持ち、またなんらかの身体的/精神的障害も抱えてはいない。その何一つ不満を抱えることが無いような恵まれた環境に置かれているせいか、彼は強烈な差別主義者であり、またサディストの側面もある。彼はイライザやゼルダに対して日常的にパワハラを行う。これは彼が身分や地位に依存していることの裏返しとも読み取れる。自分より低い身分や地位の者に迫害を与えることで、自己の存在や価値を肯定、再確認しているのだ。

研究所からの怪物の脱出を許すという不手際を犯したストリックランドは、怪物を回収しなければ現在のポストを失うという状況に追い込まれる。そして地位を失いたくないあまり彼は徐々に我を見失ってゆく。その姿はひどく惨めなものだった。最終的に彼は、怪物に惨殺され死を遂げてしまう。これは一瞥すると一人の悪役が成敗されただけかのようにも思える。だが見方を変えれば、ストリックランドのように地位や身分に固執しても幸福は訪れない、そんなものに拘る必要はないということでもある。これはイライザらで描き出される激励と意義としては同じで、それに逆からアプローチしたという解釈はできないだろうか。

この映画は得てして怪物と人間の女性の愛の物語と捉えられがちで、そしてそれは実際に間違っているわけではない。だが、この物語の本質は別のところにある。それはイライザらやストリックランドという登場人物らが描き出した、身分、人種、障害、性差などへのあらゆる差別を受ける人々に差し伸べられた、ささやかな救いの手であると僕は考えるのだ。

そしてこの映画が高い評価を受ける理由は、その差別への救済という内容だけでなく、その救済の手を差別をする側の人間にも差しのべていることなのかも知れない。

この作品はアカデミー賞受賞の触れ込みに違わず、非常に興味深い映画だ。ぜひとも映画館に足を運ばれたい。(ってネタバレしてんじゃんか)